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「Interface」 2004年12月号
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フラッシュとは
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フラッシュの最大の特徴は不揮発性であることです.つまり,いったん記憶させたデータは,電源が切れた後も消えてなくならず,
再度電源を入れればそのまま読み出すことができます.このような特徴を持ったメモリ全般を不揮発性メモリと呼びます.
フラッシュ以外にも不揮発性メモリにはいろいろな種類があり,それぞれのデバイスには,書き込み/消去の方法に特徴があります(表1).
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表1 さまざま不揮発性メモリ
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不揮発性メモリ
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消去
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書き込み
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読み出し
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マスク ROM
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不可
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マスク・パターン 書き換え不可
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ランダム・アクセス
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UV-EPROM
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紫外線照射 チップ一括消去
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ランダム・アクセス ビット単位
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ランダム・アクセス ビット単位
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EEPROM
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ビット単位
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ランダム・アクセス ビット単位
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ランダム・アクセス ビット単位
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NOR 型 フラッシュ
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ブロック単位 1s
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ランダム・アクセス ビット単位 10〜100μs/バイト
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ランダム・アクセス ビット単位 数 10ns/バイト
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NAND 型 フラッシュ
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ブロック単位 2〜4ms
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シーケンシャル・アクセス ページ単位 200μs/ページ
+転送時間
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シーケンシャル・アクセス ページ単位 15〜25μs/ページ
+転送時間
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もっとも単純な不揮発性メモリは,マスクROMです.
これは半導体の製造時点で記憶するデータを専用のマスク・パターンとして作ることからそう呼ばれています.
半導体工場で大量に製造できるので製造コストが安くなり,量産数量の多い民生機器などにはもってこいなのですが,
一度作ってしまうとデータを変更するためにたいへんなコストと時間がかかってしまいます.
したがって,用途は非常に限られてしまいます.
紫外線消去型のEPROM(Erasable Programmable ROM)はセラミック・パッケージの真ん中に石英ガラスの窓が付いた形をしています.
データの書き込みは専用のプログラマ(書き込み専用装置)を使って電気的に行い,書き込まれたデータを消去するのに紫外線を用います.
パッケージ中央のガラスの奥に見えているメモリ・チップに紫外線を照射すると,メモリ・セルの記憶が消去されます.
EPROMの書き込み/消去はメモリをプリント基板から取り外して行うので,それなりの手間がかかり,大量生産時のスループットを落とす要因にもなります.
EEPROM(Electrically Erasable PROM)は電気的に消去/書き込み可能な不揮発性メモリです.紫外線の助けを借りることなく,
高電圧によって消去が可能になっています.EEPROMのメモリ・セルは,選択用のトランジスタとメモリ用のトランジスタが組み合わされており,
各ビットごとに書き込み/消去ができます.しかし,1ビットの記憶に二つのトランジスタを用いるために,DRAMのように集積度を上げることができません.
NOR型のフラッシュはメモリ・セルごとに消去をしないかわりに,選択用トランジスタを不要にし,
1ビットあたり1トランジスタでメモリ・セルが構成されています(図1).そのため消去は一括消去となりますが,
1セルあたり1トランジスタ+1キャパシタのDRAMよりも集積度を上げることができるようになりました.
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図1 メモリ・セルの模式図 |
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NAND型フラッシュは,さらにNOR型フラッシュのような1ビットごとのアドレッシングをせず,
特定のビット線から順番にデータが読み出せるような構造にすることで配線面積を抑え,最小のメモリ・セルを実現したメモリです.
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